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 ライカの結婚式

2005年11月11日〜12月末まで、当サイトでライカとロートの結婚式イベントを行いました。こちらでは、当時行われたミニゲームや、作成されたリプレイ等を掲載しております。


イベント名 コメント
結婚式リプレイ 披露宴掲示板での、参加PCの皆様の書き込みを元にして、PLきさとが披露宴リプレイを執筆させて頂きました。(下記に掲載
ミニゲーム 半リアルミニゲームです。妖精の宝石を数多く集める選択肢制のミニゲーム。参加の皆様には行動とアイテム、任意で短いプレイングを記載して頂き、そのデーターを見て、きさとが結果を更新、ショートリプレイも掲載しました(内容は別ページへリンク)。
祝賀会(掲示板)&披露宴チャット会 パリをメイン式場にし、当サイトでどの国からでも参加出来る披露宴掲示板を設置しました。また、11月11日〜13日の日程でチャット会を開かせて頂きました。多くのご参加、本当にありがとうございました。

 結婚式リプレイ

 
 『披露宴は賑やかに!?』
 
 秋も深まり、いよいよ本格的な冬が到来しようとしていた。人々は冬支度をすっかり整え、町を吹き抜ける北風は身を震えさせる。
 そんな中、『プチホテル・OUMI』と看板のかかった小さなホテルの宴会場で、結婚式の披露宴の準備がせわしく行われていた。
「これで準備はOK、と。とうとうこの日が来てしまったね。皆、お祝いにきてくれるかな」
 花嫁の実弟であり、今回の披露宴の料理を調理したレイジュ・カザミは、珍しく元気のない顔で、各料理の仕上げをしていた。
「またそんな顔をしているのね。ほら、笑って。誰かが見たら、きっと心配するわ」
 紺色のカクテル・ドレスに身を包んだ姉のライカ・カザミが、披露宴会場に姿を現した。
「今、こちらへ向かう人影を窓から見かけたわ。どなたかいらしてくれたのね」
 ライカとて、弟の気持ちがわからないわけではない。むしろ、弟が納得するまで話を聞いてあげたいと思っていた。
 だが、結婚の日取りを今日と決めた以上、披露宴はきちんと行わなければならない。それが主催者の役目でもあり、一生に一度の結婚披露宴は賑やかに行いたいと心から願っていた。
「こんにちは」
 最初の客人が、宴会場に姿を表した。
「ライカさん、初めまして。チョコ・フォンスと申します。この度はご結婚おめでとうございます」
 そう言って、チョコ・フォンスはにこりと笑って見せた。
「お姉ちゃん、お友達のチョコさんだよ。チョコさん、わざわざ足を運んでくれてありがと!」
 と、レイジュはライカにチョコを紹介する。
「まあ、そうなの。チョコちゃん、初めまして。本当に、お越しいただいて嬉しいわ」
「この料理、レイジュが全部作ったの?葉っぱも入ってるの?おいしそうな料理だね」
 チョコは、キッチンの入り口の前に置かれたテーブルを見て、驚きの表情を見せていた。
「邪魔する」
 料理を見て笑顔を見せているチョコの上辺りから、若い男性の声がしたが姿が見えない。
「チョコちゃん、今、上で声がしなかった?」
「え?」
 ライカとチョコは同時に上を見上げた。
「トラップや侵入を許すような、仕掛けは無いようだな」
 見上げた先、天井の板を外し、アンドリュー・カールセンが壁に足をかけて降りてきた。
 常識的に有り得ない所から登場したアンドリューに、チョコとライカはしばらくアンドリューの動きを見つめていた。
「アンドリューさん。天井から来たの?どうせなら、シャンデリアの上から出現してほしかったね」
 キッチンから飲み物を持ってきたレイジュが、アンドリューに声をかけた。
「シャンデリアもあるのか、ここは。まるで貴族の居城だな」
「まあ、小さい物だけどね。この部屋ではパーティーをやるから、ちょっと豪華にしてあるんだよ」
 天井から下がっているシャンデリアを見つめているアンドリューに、レイジュが説明を返した。
「正面からの突入を回避するのは、家屋侵入のセオリーだからな」
 シャンデリアからライカへと視線を移し、アンドリューは言葉を口にする。
「初めまして、いや、久しぶりだったか?今回、ライカが結婚したということで、レイジュの友人としておめでとう、と言わせてもらう」
「貴方とは、お正月にお会いしているはずよ。でも、来てくれて嬉しいわ。もう少ししたらパーティーを始めるから、席に着いて待っていて下さいな。そうね、チョコちゃんの隣でいいかしら」
「ああ、1月の時か」
 すでに、席に座っているチョコの隣の席にアンドリューを案内したところで、また新たな客人が宴会場へ入ってきた。
「こんにちはっ♪ライカさんおめでとー!と言っても、実際ちゃんと会うのは初めてかな?レイジュさんに聞いただけだったからね」
 アゲハ・キサラギの元気な声が宴会場に響き渡る。アゲハの薬指にも指輪が小さく輝いているが、結婚はまだ先のようで、先に花嫁となったライカをうっとりとした目で、アゲハは見つめていた。
「この次は、勿論ボクが花嫁に」
「アゲハちゃん、どうかした?」
「ううん、何でも」
 会場内の飾られていた花の向きを直しているレイジュの問いかけに、アゲハは軽く首を横に振って見せた。
「それにしても、この料理。本当にレイジュさんが作ったの?すっごく美味しそうなんだけど、何か変な薬とか入ってないよねぇ?ボクが食べようとすると爆発するとかさ」
 アゲハは会場内の料理を見回しつつ、目を細めてレイジュを見つめた。
「やだなあ、お祝い料理に、どうして毒なんか入れなきゃいけないのさ」
「安心しろ、毒見したが毒は入ってないぞ」
 アンドリューが、真面目な顔をして答えた。
 レイジュはアゲハを空いている席へと誘導すると、また料理の準備を続ける。
「料理、つまみ食いしちゃったのね」
 と、席についたアンドリューに、チョコが囁いた。
「つまみ食いではない、毒見だ。自分も、レイジュの料理は楽しみにしている。野菜は根菜だけなのか?」
 アゲハに続いてアンドリューが問い掛けたところで、ようやく花婿のロート・クロニカルが控え室から登場した。藍色の婚礼衣装を着ているが、顔はその藍色とはまったく逆で、緊張と恥ずかしさで真っ赤になっていた。
「もう、何やってるのよ、とっくにお客様がいらしてるんだから」
「いや、その、気持ちを整えるのに時間が」
 ライカは引っ張るようにして、ロートを花婿用の席へと座らせた。
「恥ずかしいんだ、こういうのには、慣れてねえから。こうなったら酒だ!じゃんじゃん酒もってこーい!!」
 各地から用意した酒を並べているレイジュに向かって、ロートが声をあげる。
「そんなに照れないで?それに、あんまりお酒飲むのも駄目よ、宴会場でも、きちんとしておかないと、ね?」
「と、言われてもなあ」
 恥ずかしさのあまり、そばに飾られている真っ赤な薔薇の花の色よりも、顔を赤くしているロートは、ライカの顔をまっすぐに見る事が出来なかった。
「ライカさんにロートさん、結婚おめでとー!」
 小走りに会場に入って来たチップ・エイオータは、ライカとロートに元気良く挨拶をした。
「ライカさんすごく綺麗だよ、世界一の花嫁さんだね♪ロートさんもかっこいー!どしたの、顔真っ赤だよ?」
 顔を赤くして汗までかいているロートの様子を見て、チップは首をかしげていた。
「チップ君とは、ずっとキャメロットで一緒でしたものね。あたしが結婚しても、良いお友達だわ。あと、この人は照れているだけだから、大丈夫よ」
 ライカがチップに言葉を返す。
「そうなの?じゃあ、おいら席に座ってるね。あ、ご挨拶遅れちゃった。おいらチップ・エイオータ、初めましての人はよろしくね。あ、そうそう、今回都合で来られないけど、ルーイさんもおめでとうだって!」
 チップは、すでに会場にいるチョコやアンドリュー、アゲハに挨拶をし、レイジュに案内されて席へとついた。
「まだ人が来るかもしれないけど、時間になったから披露宴をはじめさせてもらうね」
 ここでレイジュが、新郎新婦の席のそばに作られたテーブルの前に立った。
「本日は、ロート・クロニクルとライカ・カザミの結婚披露宴にお越し下さり、ありがとうございます。二人の新たな門出を祝いまして、ささやかながらの祝賀会を開催させて頂きました。今日は、このパーティーをお楽しみ下さい」
 落ち着いた口調で、レイジュは目の前にある飲み物を手に取った。
「皆様、飲み物をお手にどうぞ。それでは、二人の結婚を祝いまして、乾杯!」
 皆が互いに杯を交わしたところで、今度は幼い少女と、続いて一人の女性が姿を見せた。
「ライカおねーちゃんにロートおにーちゃん、結婚おめでとー♪微妙に遅れちゃった気はするけどね」
 エルシュナーヴ・メーベルナッハと、その親戚であるロイエンブラウ・メーベルナッハが、一緒に宴会場へと入って来た。
「遅れてすまない、ロイエンブラウだ。ライカ殿とは初見、だっただろうか?ともかく、此度は結婚おめでとう」
「うぃーす、久しぶり」
 ようやく落ち着いてきたロートが、エルとロイエンに言葉を返す。
「エルちゃんとはお会いしたけど、ロイエンさんは初めましてね。もちろん、レイジュからお話は聞いているけど。今日はゆっくりしていってね」
 ライカも二人に笑いながら言う。
「このお料理、全部レイジュおにーちゃんが作ったの?」
 レイジュが料理が得意な面を知らなかったエルが、驚きの声をあげていた。
「ところで、ライカさん。さっきからロートさんの方をちらちら見てるけど、何か言いたい事でもあるんじゃない?」
 ライカの視線が気になっていたアゲハが、首を傾げながら尋ねた。
「うん?どうかしたの、ライカさん?」
 チョコもアゲハに続いて声を掛ける。ライカはしばらく黙っていたが、意を決したように口を開いた。
「実はね、あたし、お腹に子供が出来たの。ちょっと前にわかってたんだけど、おめでたい席で言おうと思って、ずっと黙っていたの。黙っててごめんなさいね?」
 そう言って、ライカは優しく微笑んだ。
「もうちょっとで4ヶ月目だから、順調に行けば、出産予定日は5月あたりかしらね?」
「あのロートが父親か。想像つかんな」
 ライカの発表の後、一番最初に言葉を発したのはアンドリューであった。
「夫と父親を続けたいのなら、酒はやめた方がいいぞ。精神を破壊するからな」
 続けてアンドリューは、ロートへと呟いた。
「応援してた二人がくっついてうれしいわ。それに、来年赤ちゃんが生まれるのね。おめでとうございます」
 今度はチョコが笑顔で囁いた。
「きっとかわいい赤ちゃんが生まれるんだろうなぁ。その時は、ぜひ抱っこさせて下さいね」
「ふーん、今日はダブルで重大発表だね。ボクだってそのうちに」
 そう言って、アゲハは出された酒を口にした。
「そうか、それなら子供が出来たコトもおめでとう、だな。誕生の暁には是非私にもが」
 ロイエンがそう言ったところで、彼女の口はエルによって塞がれた。背伸びをしてロイエンの口を塞いだエルは、誤魔化す様に言う。
「もし赤ちゃんが男の子だったら、絶対ロイエンおねーちゃんに抱かせちゃダメだよ?暴走するから 」
「男の子だったら、暴走しますの?」
 エルの言った言葉の意味が分からず、ライカが聞き返す。
「だってー、ロイエンおねーちゃんの暴走っぷりって言ったら凄いんだもん」
 エルは、ロイエンの顔をちらりと見てから話を続けた。
「前、依頼で可愛い男の子に会った時なんか、萌えるあまりに連れて帰ろうとしたくらいだし。止めてくれる人がいなかったら、ギルドにその子の奪還依頼が出てたかも!」
「まあ。うちの子、産まれた瞬間、浚われるのかしらね」
 真面目な顔をして悩んでいるライカを見て、ロイエンはエルを突付いた。
「エル、お前に人のコトは言えんと思うが」
「でも、男の子に対しての暴走具合は、ロイエンおねーちゃんに及ばないよ?」
 エルはきょとんした顔で、ロイエンに返事をした。
「うわあ!赤ちゃんいるの?おめでた尽くしだね、元気に生まれてきますように」
 驚きの表情の後に笑顔を浮かべ、チップがライカに言う。
「もちろん、喜んで。チップ君になら、きっと良い遊び相手になると思うわ。
人間同士の子だから、この子が外で遊べるぐらい大きくなっても、パラのチップ君はあまり変わらないかしらね」
 ライカはチップにそう答えるが、すぐに目を伏せた。
「だけど、今つわりが一番酷い時期なの。こんなに料理があるのに、食べられないのよね」
「そっかー。妊婦さんも大変なんだね」
 と言って、チップは心配そうにライカを見つめた。
「でも、何よりも一番嬉しい事でしょう?子供ができた事って」
 ライカはロートの顔を見つめた。だが、一番喜ぶべき人は、喜ぶというよりも、困惑したような複雑な表情を見せていた。
「子供?何言ってんだおまえ、そんな冗談通じねぇって」
「こんな時に冗談言ってどうするのよ。もしかして、嬉しくないの?」
 てっきりロートが喜んでくれると思っていたから、ライカは不安な気持ちに包まれた。
「あ、いや、そうじゃないんだって。妊婦なんて近くで見たことなかったからさっ、びっくりして」
 ロートは真剣な顔で、何かを考え込んでいるようであった。
「驚く事なんてないわ。あたしも、嬉しいのよ。子供はすぐに欲しかったから」
「そうか」
 ロートはライカを抱き寄せて、静かに囁いた。
「あー、その、なんだ、ええと。ありがとな。元気な子、生んでくれよ」
 短いながらも、ロートにとっては精一杯の言葉であったのだろう。頭をかきながら、顔を赤く染めてやっと返した言葉。
 ライカは不器用な夫に言葉はかけず、笑顔だけを返したのであった。
「お姉ちゃんの子供だから、僕はおじちゃんだね」
 料理を運びながら、レイジュはライカへと言う。
「子煩悩と食べ物の話。バナナばかり食べていると子煩悩になるのです。すでにそれを実証しようと行動を起こした人が過去にいるのです。なんか漢方のナンタラとかいう方法でアッチの国では有名な話らしいのです。なんだか自分が何をしゃべっているのかよく分からないのです。つまり早い話が結婚おめっとさん。お土産のバナナ」
 大量にバナナを持って、黒髪のフォン・クレイドルが会場に姿を現した。
「お久しぶり〜、しばらく会ってなかったけど、元気そうだね」
 フォンの姿に気づいたチップが、最初にフォンに声をかけた。
「あれ、フォンさん?うわ、バナナだっ!!!これ、デザートに使えるかな!ありがとう」
 バナナを受け取り、レイジュがフォンを部屋に招きいれた。
「バ、バナナ有難う。こんなに沢山、二人じゃ消化出来ないから、皆で食べましょうか。わざわざ来ていただいて、ありがとうね」
「だってほら。あたいはバーリトゥードだから。いろんなところにきたりこなかったり。だからこれからも二人で良い家庭築いてね」
 フォンはそれだけ言うと、バナナを置いて会場から出て行く。
「なんつーか、お前も相変わらず独特のテンションだな。それでも祝いの言葉につなげられるのが凄いっつーか、そうだな、さんきゅー」
 ロートはフォンに笑いかける。
「ごめんなさい、遅くなりました。こんにちはアルルです。改めてご結婚おめでとうございます」
 アルル・ベルティーノは宴会場へ入ると、まずロートとライカにお辞儀をし、今度は他の者達へも丁寧に頭を下げた。
「アルルさん、いらっしゃい!これから料理を出すところだから、そっちの席に座っていてね」
「ありがとうございます。あの、先程お聞きしたのですが、赤ちゃんがお腹にいるんですか!?」
 アルルは、他の人の会話を耳にし、ライカへと問い掛けたのであった。
「ええ、そうよ、アルルちゃん」
「うわあ、ライカさん本当におめでとう!幸せいっぱいだね」
 アルルはライカとロートに笑顔を返すと、そのまま席へと座った。
「うわあ、微妙に出遅れかな。ライカさん、ロートさんご結婚おめでとー♪」
 会場に駆け込んできたユニ・マリンブルーは、ロートとライカを交互に見つめた。
「ライカさんすっごい綺麗だよ!乙女の憧れそのまんまって感じ!ロートさんも意外に決まってるね」
 最後のあたりを強調しつつ、ユニは楽しそうに笑う。
「意外ってなんだ、意外ってのはぁ!!」
 ロートはユニのそばまで寄り、ロートに邪悪な笑みを見せるユニの頬の肉を左右に引っ張った。
「いひゃい!いひゃい!!久しぶりの再会なのにいきなり何すんのさー!ライカさんの旦那さんになるんだから、ちょっとは大人になってよね〜?」
「えっと、とびこみですけど、よろしいでしょうか?さすがに賑やかですね」
 ユニとロートの後ろから、落ち着いた口調でソルシウス・タルブランが姿を見せた。
「ライカさんにはもう言いましたけど、ロートさんにはまだでしたね。おめでとうございます」
 ソルシウスが丁寧な態度で、二人に挨拶をする。
「あら、いらっしゃい、ソル君。本当にどうもありがとう。ゆっくりしていらしてね?」
「久しぶりだな。さんきゅー」
 ロートとライカがソルシウスに礼の言葉を述べた。
「あ、ソルシウスさんだ、お久しぶりー♪こっち来て一緒にご馳走たべない?」
 チップがソルシウスにそう叫んだので、ソルシウスはチップの隣の席へと移動した。

 ◆
 
「そろそろ料理を出すよ。お姉ちゃんにはレモン汁を入れた飲み物を用意して置いたよ」
 そう言うとレイジュは、手製の飲み物をライカに、そしてロートにも同じ物を出した。
「さて、お待たせしました!まずは前菜、東洋の伝説の鳥、鳳凰をあしらった鳳凰前菜でございます。おしどりの鳳凰で、素材はエビのすり身や卵の薄焼き、白菜等を組み合わせて作りました。どうぞ、ご賞味ください!」
 伝説上の生き物、鳳凰の形にした前菜を、レイジュは皆のテーブルへと並べた。
「美味しそうなサラダだね、きれいすぎてなんだか食べるのもったいないかも」
 チップはそう言うと、オレンジ色のハムを口にする。
「すごく食べるのももったいない気もしますけど、いただいて良いんですよね」
 ソルシウスは少し遠慮がちに、鳳凰をフォークで突付いた。
「うん、美味しい♪」
 エルはロイエンの隣に座り、鳳凰の形をした前菜を楽しんでいた。
「俺のはないのか?」
 自分の分の前菜がいつまでも来ないので、ロートはレイジュに問い掛けた。
「お姉ちゃんが一人で苦しんでいるのに、一人で食べようってたって、そうはいかないからね」
 レイジュはロートにそう答え、舌まで出した。
「嫌がらせすんなよな、俺だってうまい飯は食いたいんだぞ!」
「夫婦は一心同体なんでしょ!」
「そんな立派な前菜あんなら俺にも食わせろよ!ライカが食えねえ分、俺がたくさん食って力蓄えとかなきゃ、いざって時に何もできないだろうが!」
「ロートさんに食べさせるものなんてありません」
「もう、どうして喧嘩ばっかりするのよ、貴方達は」
 ライカは夫と弟のやりとりを見て、ため息をついた。レイジュはどうしても、ロートの前では素直になれないようであった。
「それじゃ、このあたりで新郎新婦に、今の思いとをこれからへの希望や期待を、語ってもらおうかな!」
 話を誤魔化すようにして、レイジュはライカへと話を振った。
「まあ、何よ急に。とりあえずは、あたしは自分の体の事を考えなきゃいけないの。新しい命授かった以上は、もう自分勝手気ままには出来ないから。別に、成り行きで出来たわけじゃないわよ、子供が欲しいから作ったのよ?だから、これからはこの子を大事に育てる事を考えるわ。旦那と一緒にね」
 ライカはレイジュの言葉を聞いて、すぐにこれからの抱負を語った。
 皆の視線がライカに集まり、そして今度は視線がロートへと集中した。
「あー、今の思いは、恥ずかしいと嬉しい、このふたつに尽きる」
 そう言って息をつき、ロートは再び話を続けた。
「希望は。そうだなぁ、生まれてくる子供に恥ずかしくないように、早く一人前になることかねぇ。で、余裕ができたら二人目。って、俺は何を言ってるんだああああっ!」
「さて、変な人はほっといて。次なる料理はオードブル。帆立のムースと海の幸盛り合わせだよ」
 レイジュは次の料理を皆のテーブルへと並べた。
「ホタテって美味しい上に、貝殻で人魚ごっこも出来て大好き♪」
 チップがホタテを口にしつつ、レイジュに笑顔を浮かべた。
「司会進行、それに料理も本当にお疲れ様〜。もうすぐ、レイジュさんはおじさんだね。いーないーな、おいらもおじ様って呼ばれたい〜」
「チップさんは、ご兄弟はいらっしゃらないのですか?」
 チップの隣で、ソルシウスが問い掛けた。
「おいら一番上なんだよ。妹が3人いるの。だから、子供の面倒を見るのは得意だよ〜♪」
「へえ、そうなんだ。僕は逆に、末っ子だから、おにーちゃんって呼ばれてみたいんだよね」
 レイジュはそれだけ言うと、次の料理の準備をしにキッチンへと入っていった。
「アゲハちゃんんの、恋人さんはどんな方ですの?」
 ライカは料理を食べる事が出来ないので、テーブルから出歩いて、皆と会話をする事にした。
「ボクの恋人?そうだなー、ライカさんの旦那さんに負けないぐらい素敵な人だよ!」
 アゲハはにこりとしてライカに答えた。
「そう。早く結婚出来るといいわね。その時は、あたしにも教えてくださいな。式には参加出来なくても、お手紙ぐらいなら、出したいものね」
「うん、勿論教えるよ。結婚する日が、今から楽しみなんだ」
 アゲハは恋人の顔を思い浮かべ、ライカににこやかに答えて見せた。
「アゲハちゃんなら、可愛い花嫁さんになるわね」
「えへへ、そうかな?有難う、ライカさん」
 ライカの言葉に少し照れながら、アゲハが返事をする。
「最近、結婚する人が多いよね。子供出来たりする人も。アゲハも、おめでとうだね」
 今度はチョコが、アゲハに言葉をかけた。
「え、あ、ありがとう」
 まだ早いとは言え、チョコにもお祝いの言葉をかけてもらったアゲハは、すっかり照れてしまった。
「で、アンドリューさんは全部毒見をしたわけ?」
 無表情のまま、料理を黙々と食べているアンドリューに、照れたのを誤魔化しながらアゲハが尋ねた。
「毒物知識のある者が、先に毒見をしなければな」
「こらこらこら。食べすぎよ。それに、あんたが食べた後に毒が混ぜられたらどうするのよ?」
 チョコは、つまみ食いのように料理の毒見をしているアンドリューに言った。
「問題ない。常に監視は続けているからな。ほとんどの料理に毒は含まれていないが、ハーブサラダだけはどうしても口にする自信がなかった」
「何でハーブサラダだけ?あ、そうか」
 アゲハはそう答えると、ハーブサラダの葉っぱを見て、アンドリューに苦笑をするのであった。
「ボクもあれは遠慮しようかな」
「しかし、ロートが子持ちとはいまだに信じられん」
 アンドリューは、料理がもらえずレモン汁ばかりを飲んでいるロートに、小さく呟いた。
「まあ、子供に研究室を荒らされんようにな」
「その点は大丈夫だ、荒らされる前から既に荒れ放題」
 その言葉を、ライカが別のテーブルにいた為、聞いていなかった事は幸いであっただろう。
「これからは、ロートもお父さんって呼ばれるんだね」
「ああ、そうだな。だけど、お父さんか。父親、親かぁ。うーん」
 チョコの言葉に、ロートは何とも複雑な思いをして、腕組みまでしてしまった。
「確かに、父親ってまだ実感わかないだろうけど、来年は、ね。あたしも嬉しいよ、応援していた恋が実ったんだから」
「そうだったな。あの時は世話になったよな」
 かつて、イギリスでチョコと交わした言葉が、ロートは今、頭に浮かび上がった。
「さて、料理もそろそろメインを出しましょう。子羊のムニエルだよ。牛肉よりも柔らかいのが特徴なんだ。食べてみて?」
 レイジュは、焼きあがったムニエルを運んだ。出来たてのムニエルからは、暖かい湯気と香ばしい香りが漂ってくる。
「ふむ。こちらでは羊をジンギス」
「ん、どうかしたの?」
「いや、何でもない」
 チョコの問いかけに、アンドリューは首を振る。
「ホタテもいーけどお肉も大好き♪」
 チップは、笑顔でムニエルを食していた。
「ライカさんもロートさんも久しぶりにお会いしましたが、お子さんが出来たと聞いてびっくりです」
 ソルシウスは静かに、ライカに言った。
「ええ、さっさと子供作って、さっさと産もうと思っていたので」
 冗談さながらにライカは笑って答えた。
「幸せですね。上手く言えませんけど」
「そうね、確かにとても幸せだわ。でも、幸せってそんなに遠くにあるものではないと思うの。ここに来たのだから、ソル君にも幸せになってもらわないと困るわね」
「幸せに、なれるでしょうか?」
 ソルシウスがそう尋ねたので、ライカは笑って頷いた。
「なれるわよ。そうなりたいと、思っていればね」
「この料理には、葉っぱ入ってないよね」
 アゲハはムニエルに葉っぱが使われていないのを確認してから、ようやくムニエルを切って口に入れた。
「おー、ムニエルだムニエル。パリにいた頃は貧乏だったから、あまりこういうの食べられなかったんだよねー」
 アゲハの隣で、ユニもムニエルの味を楽しんでいた。
「さてさて、料理も残り3つとなりました。こちらは、魚介類のサラダとイチゴソース。甘酸っぱい味がウリでございます」
 レイジュが次の料理を運んできた。赤いソースが何とも鮮やかなその料理には、豊富なシーフードが載っている。
「レイジュさん、キッチン借りていい?おいらも料理を作るよ」
 料理を運んできたレイジュに、チップが言った。
「うん、いいよ。好きに使って。でも、材料はほとんど使い切ったんだけど」
「鮭の頭だけちょーだい、氷頭のお煎餅作るね」
 チップはそう言って、キッチンへと入っていった。
「レイジュさん、ついでに飲み物お代わり」
 アゲハが、レイジュにコップを見せた。
「青汁でいい?」
「いらないよっ!」
「青汁健康にいいんだけどなあ」
 そう言ってレイジュは、アゲハのカップに飲み物を注いだ。
「レイジュ、いい加減俺の分も持ってきてくれないのか?」
「だから、ロートさんの分なんてないよ?」
 レイジュは平然と言うと、さっさと次の料理の支度をしに、キッチンへ入ってしまった。
「あいつ」
 ロートはレイジュの後姿を見て苦笑をした。
「ライカおねーちゃんは、子供はどっちがいいの?」
 エルは食事をしながら、ライカに子供の性別の事を尋ねていた。
「そうね、育てやすいのは女の子だろうけど、男の子も将来頼れそうでいいわね。どっちとも言えないわ」
「ふうん。まあ、男の子生まれたら、ロイエンおねーちゃんがお持ち帰りするかもしれないから、今から気をつけないとね」
「まったく、エルだって危険なところが十分にあるだろうに」
 料理をつつきつつ、ロイエンがエルに苦笑を浮かべていた。しばらくしてから、食事を楽しんでいたチョコがテーブルから立ち上がり、ちょうど会場に入ってきたレイジュに声をかけた。
「洗い物あるなら、手伝うよ」
「うん?じゃあ、食事が終わったらね。まだ料理があるから、終わるまでは座ってていいよ」
「わかったわ」
 レイジュにいわれると、チョコは再び席に戻った。
「それにしても、この料理が食べられないのは残念ね。とっといておきたい位だわ」
 レイジュは姉の妊娠の事は、披露宴の前から知っていたけれど、料理だけはきちんと姉の分も用意していた。だから、自分の分の料理だけが、ほとんど手付かずで残っているのを見て、ライカはとても残念に思っていたのであった。
「でも、とっておいて痛んだ物食べておなかこわしたら、赤ちゃんびっくりしちゃうよ。今食べられるものだけにしといたほーが、いーかもだよ」
 羨ましそうな顔で料理を見つめているライカを見て、料理の配膳の為一度キッチンから戻ってきたチップが、心配そうな表情を見せた。
「んと、お茶はダメ?おいら持ってくるから欲しいものあったら言ってね?」
「有難う、チップ君」
 チップの優しい言葉に、ライカは涙が出そうになった。妊娠して情緒が不安定になっているので、少し涙もろくなっているせいもあったが。
「アゲハとレイジュは古くからの友達なの?」
「え?うーん、一応そういうことになるのかな。腐れ縁っていうか」
 チョコに尋ねられて、アゲハは悩みつつ答える。
「いいなあ。そういう関係って、羨ましいよ」
「羨ましい?そうかなぁ、女王と下僕みたいな関係だけど」
 それだけ言うと、アゲハはキッチンのレイジュに叫んだ。
「レイジュさん、次の料理早くしてよね!」
 アゲハが叫ぶと、アンドリューが小さく言った。
「キッチンで、毒が盛られる事もあるかもしれん。きちんと、監視しておかねばな。特に、葉っぱが入れられたら危険だ」
「まだ、監視してたんだ」
 チョコは、そんなアンドリューにチョップを食らわせる。
「痛いぞチョコ」
「ごめん、なんだかとってもチョップしたくなったの」
 今度はチョコは、アンドリューへチョップしたところを優しく撫でた。
「チョコさんとアンドリューさんは、仲がいいんだね」
 アゲハは、二人のやりとりを見て、クスクスと笑った。
 その時、台所から香ばしい匂いが漂ってきた。いや、それは香ばしいという匂いとは少し違っていた。
「何か、焦げてるようだな」
 アンドリューが呟いた。
「お煎餅、焦げちゃった!」
 ちょっと目を離したすきに、チップは料理を焦がしてしまった。黒焦げになった煎餅を見つめ、チップはがっかりとため息をついた。
「あーあ。しょうがいね。でも、作り直そうよ!その材料はまだあるしね!」
「じゃ、筋子もらっていい?和えものなら簡単♪」
 チップはキッチンに入り、やがて和えものを作って顔を出し、それを皆へと配った。
「ライカさんには、リンゴをむいてきたよ。ほら、うさぎさん!これなら、食べられる?」
「ええ、これでリンゴなら大丈夫。有難う、本当に」
 ライカはチップに、笑顔を贈って礼をした。
「そろそろデザートなんかを。これは、卵と牛乳の、単なるプリンなんだけど、結構濃厚だと思うんだよね。家庭的なデザートもいいでしょ?」
 レイジュは、プリンをひとつひとつ器に盛り、それを皆の前に置いていった。
「デザート美味しいよ、レイジュ♪」
 一番最初にプリンを口にしたチョコが、満足の笑顔をこぼした。
「レイジュさんにしては、やるんじゃない?」
 アゲハも、デザートは何も警戒しないで口にしていた。
「とても甘いですね」
 ソルシウスは、ゆっくりとプリンを食べている。
「そういえば、プロポーズの言葉って、何て言われたの?まだ誰も聞いていないよね?」
 プリンを食べつつ、チョコがライカに囁いた。
「プロポーズ?そうね、確か、自分と一緒に、新しい家族を作っていこう、だったわね」
 ライカは、自分の薬指に輝く指輪を見つめて、うっとりと微笑んだ。
「ロート、ちゃんと言ったのね。こういうのは、ちゃんと言ってもらいたいよね」
 チョコはライカの返事を聞いて、ほっと一安心した。
「レイジュさん、本当に料理がお上手ですね。一番最初の鳳凰などは、もったいなくてなかなか手がつけられませんでした」
 最後の料理である、茶を運んできたレイジュに、ソルシウスが呟いた。
「料理は、昔からやっていたんですか?」
 アルルが、レイジュに尋ねてみる。
「お父さんが料理やるからね、子供の頃から触れてたんだよ。さあ、最後は貴重なお茶で。これはラベンダーティーだけど、ミントを入れてさっぱりな口当たりにしてみたんだよ。ラベンダー単体では味も独特だけど、これなら飲みやすいはず」
「どの料理も美味しかったね。おいらこんなにご馳走食べたの久しぶりだよ」
 チップは茶を飲み、満足げにソルシウスに言った。
「あたしも、レイジュの料理が食べれてうれしいよ」
 チョコがにこりと笑う横で、ロートがようやく出してもらった料理をじっと見つめていた。
「こういう料理の一つ一つにも、文化が詰まってんだよなぁ。今度時間が取れたら、こういうところから研究してみるのも、いいかも知れねぇなぁ」
「ねえ、ロート。初めての出産で、不安になると思うから、ライカさんをしっかり支えてあげてね」
 チョコがそう言うと、ロートは自信のある表情で頷いて見せた。
「ああ、もちろんだ。そうでなくちゃ、一人前とは言えねえからな!」
「頑張ってねー、ロートおにいちゃん」
 エルが、ロートに声援を送った。
「ボクも、近いうちにきっと」
 アゲハは小さくそう言って、未来の自分の花嫁姿を想像するのであった。
「時は止まってなんていないんだよね。お姉ちゃんが結婚して、子供が出来て。それに、他の皆も。僕だけ取り残されるわけには行かない。僕も、未来への道を歩かなきゃな」
 賑やかな会場を見つめ、レイジュは静かに言った。
「そろそろ終わりかな」
 レイジュは会場の中へと戻り、料理を食べ終わって歓談を楽しんでいる皆へと声をかけた。
「話も尽きないところですが、そろそろ、この披露宴をお開きにしたいと思います。皆様、本当にありがとうございました!」
「今日は、時間を割いてこちらへ来て頂いて有難う。今日を出発として、新しい人生をこの人と共に歩んでいきますわ」
 司会であるレイジュのあとに、ライカが言葉を続けた。
「俺も、妻と、子供が安心して暮らせるような、家庭を作る」
 ロートの言葉に、ライカが嬉しそうに笑顔を浮かべた。
 
 
 
 宴会が終わり、ライカとロートは皆の帰り際に、今日、このパーティーに来た者達一人一人に菓子を渡し、自分達を祝ってくれた人々への感謝の気持ちを述べた。
「ロートさん、ライカさん、これはプレゼントです」
 アルルが、二人に包みに包まれた物を渡した。
「これは何だ?」
 不思議に思ったロートが包みを開けた。そこには、ロートとライカを模した小さな人形が入っていた。
「とても可愛らしいでしょう?どうぞ、おうちに飾って下さいね」
 そう言って、アルルはにこりと笑った。
「有難う、アルルちゃん」
 ライカもアルルに、笑顔で答えた。二人にとって今日という日は、一生忘れる事のない、大切な日となる事は間違いないだろう。
 なぜなら、今日を境に、ロートとライカは夫婦となったのだから。(終)




 楽しかったけど、まとめるのはなかなか大変だったリプレイ(笑)掲示板のコメントも、あっちこっちに飛んだりしていたので、それを追いかけてセリフをまとめておりました。

 なるべく、レイジュとライカは目立たないようにし、お客様の方を重視して書いたのですが、ライカの結婚式である以上、彼女が多く登場してしまうのは、しょうがないのかなあと。話がつながらなくなりますしね・・・。

 当時の結婚式披露宴が、こんな風に行われていたかは、ちょっとわかりませんけど(笑)